レオナルド・ダ・ヴィンチの幻の作品と言われていた、イエス・キリストの肖像画「サルバトール・ムンディ」(救世主)が、15日、アメリカ・ニューヨークで、クリスティーズ・オークションに掛けられ、美術作品としては史上最高額の約4億5030万ドル(約510億円)で落札されました。
本作品は、1500年ごろに制作された油絵で、縦65.7センチ、横45.7センチ。青いローブを身にまとい、右手を掲げ、左手に水晶玉を持ったキリストの上半身が描かれています。
英王室の収蔵品だったものが、1763年の競売後、所在不明となっていたため、「幻の作品」と言われていました。2005年に存在が確認され、修復後、専門家の鑑定で、ダ・ヴィンチの作品と判明し、実に前回の競売から250年以上の時を経て、今回のオークションとなった模様です。
ダ・ヴィンチの絵画は、現存するものが20点足らずと、希少性が非常に高く、開催前から、注目が集まっていました。
クリスティーズの事前の予想では、落札額は、1億ドル(112億円)くらいか?と見込まれていたそうで、18分間にわたる激しい入札合戦の末に、予想を大きく上回る落札額で競り落とされました。
美術市場で高名な作家の一人で、作品数が少ない、ダ・ヴィンチ作で、描かれているのが、イエス・キリスト、そして、しばらく存在が消えていた幻というのが相まっての価格でしょうか?このくらい凄いレベルの絵画となれば、高級品に費やすというよりは、資産という位置づけなのでしょうね?
510億円というと、見当もつかない金額です。買った後の維持管理にも、かなりコストがかかりそうですね。誰が買ったのか、落札者が、気になるところですが、現段階では発表されていないようで、情報が見つけられませんでした。ニュースで見た画面では、最後まで残っていたのは、いずれも電話での競い合いだったように見えました。
ということは、個人なのかな?企業のプライベートコレクション?そうだとしても、時として、保管を兼ねて、美術館に委託や貸出をするケースもあるので、いつか公開されるといいなと、思います。ポスターとかの複製品が出る見込みは薄いかな?話題になった以上、見たいですよね?
今までの美術品の最高落札額は、同じくクリスティーズの2015年のオークションで、20世紀の巨匠、パブロ・ピカソの油彩画「アルジェの女たちバージョン0(The Women of Algiers Version0)」の1億7940万ドル(約200億円)でした。
今後、他に新たに、ダ・ヴィンチの作品が発見されることもあるかも?とロマンがありますね。
ネット上で、おもしろいコメントを見つけました。
このオークションに負けた人は、悔しかったのかホッとしたのか、とても気になる。
競り中は、資産家といえども、心臓がバクバクするのではないでしょうか?
競り勝った人も、落札後、嬉しいのか、調子に乗りすぎた、ヤバい?と思っているのか、とても気になりますね。
追記:その後、以下のようなものを見つけました。
「クリスティーズは、落札者のプライバシーについて一切公表しません。しかし、現地では様々な噂が飛んでいます。これだけの金額を払える資産家は世界中でもせいぜい150人程度。中でも美術品に興味を持つ4人が専ら取り沙汰されています。ヘッジファンドマネージャーで億万長者のケン・グリフィン、チェーン店ウォルマートの後継者アリス・ウォルトン、中国の実業家・劉益謙、世界一の富豪、アマゾン社CEOのジェフ・ベゾスです。特にベゾスは最近、大量の自社株を売却していたとか……」
そう語るのは、北米在住ライターの關陽子さん。
「週刊新潮」2017年11月30日 掲載 新潮社
アマゾンのジェフ・ベゾスCEO説が有力?
再びその後、サウジアラビアの王族が買ったという説を拝見しました。
真相はいかに?
スポンサーリンク
レオナルド・ダ・ヴィンチ
1452~1519年
イタリア・ルネサンス期を代表する芸術家。
フルネームは、レオナルド・ディ・セル・ピエーロ・ダ・ヴィンチ
音楽、建築、数学、幾何学、解剖学、生理学、動植物学、天文学、気象学、地質学、地理学、物理学、光学、力学、土木工学など様々な分野に顕著な業績と手稿を残し、人類史上もっとも多才で、「万能人 (uomo universale)」 という異名などで親しまれています。
実に、多才な人物だったが、存命中から現在にいたるまで、画家としての名声がもっとも高いです。過去の画家としては珍しく、存命中から正当に評価されていて、良かったなと、感じます。それくらい、とても際立っていた人なのでしょう。
代表作:モナリザ、最後の晩餐、岩窟の聖母、ウィトルウィウス的人体図(ドローイング)
現存する作品数が少ないのは、ダ・ヴィンチが完ぺき主義で、納得出来ない場合、自身の作品を破壊してしまったこと、可惜な技法の模索と実験に多大な時間を費やしたこと、1つの作品に何度も手を加え、時間をかけて制作する習慣があったこと、などがあげられています。